第5章 中国とロシアが示した“現実の世界秩序”


5.1 中国は秩序の否定者ではなく、秩序の再定義者である

多くの人は中国を 国際秩序を壊す国と理解している。 しかし実態は違う。

中国は秩序を破壊しているのではなく、 自らの生存に有利な秩序へ書き換えようとしている。

西側が作った価値観や制度は 中国にとって不利な枠だった。 だから中国は 自由や人権や市場という言語を用いず、 権力・統制・覇権 を軸にした秩序へ 世界を再構築しようとしている。

中国は近代国家の暴露者である。 国家が本質的に 理念の共同体ではなく 支配の装置であることを 露骨に示した。


5.2 ロシアは“文明の仮面を剥がす役割”を果たした

プーチンによるウクライナ侵略は 単なる領土拡張ではなかった。

それは 文明が国家の本性を抑え込んでいるという幻想 を破壊する行為だった。

世界は最初、 国際法や制裁で止められると思った。 しかし国家は止まらず、 理性の言語は通用しなかった。

ロシアは 世界秩序の「本当のルール」を あからさまに示した。

国家は生存のためなら暴力を使い、 正義はそのために捏造される。

この事実を認められない国が 最も無力になる。


5.3 なぜ国際社会は何もできなかったのか

ウクライナ侵略を止められなかったのは、 国際社会が弱かったのではなく、 世界が本来そういう仕組みで動いているから である。

国際法には 強制力がなく、 制裁は国家意志を変えず、 道徳的非難は何も生み出さなかった。

それでも人々が 「秩序は守られている」と信じたいのは、 真実を認めれば 世界が危険だと気づいてしまうからだ。

無力な制度に期待することは 安心のための自己欺瞞である。


5.4 中国とロシアは“劇場の裏の世界”を理解している

中国もロシアも、 国際会議や価値観論議を 本気で信じていない。

彼らが信じているのは 力・恐怖・抑止・報復・生存 という言語である。

だから彼らは 制度や法律を無視しても、 恥じるどころか それを戦略として使う。

西側は制度に依存し、 彼らは力の素顔を理解している。

どちらの世界理解が 現実に近いかは ウクライナ侵略が示したとおりである。


5.5 “善人のふりをする国家”が最も危険である

西側国家は、 自由や正義や人権を掲げるが、 その裏で 制裁、経済支配、軍事圧力を用いる。

中国とロシアは 善人の仮面を被っていない分、 まだ正直である。

むしろ危険なのは 自分を正義だと信じながら 覇権を追求する国家 である。

価値観という衣をまとった力は、 最も見えにくい暴力になりうる。

この構造を理解できない国は、 国際政治の舞台で 永遠に利用される側になる。