10.1 弱者国家の生存法は“寄生と適応”である
国家には強者と弱者がある。 弱者国家は、自分の力で環境を変えられない。 したがって生存の方法は、
誰かの秩序に寄生し、 その中で利益を得ること
となる。
日本、欧州の多くの国、湾岸の都市国家などが このモデルである。 弱者国家の知恵は、 勝てないなら 利用し、適応し、存在を確保する という戦略にある。
10.2 弱者国家は“守られる代わりに主体を失う”
安全保障、資源、経済、外交、技術を 他国の体系に依存する国家は、 保護される代わりに 自身の意思を放棄する。
国家の安全を外部に委ねることは、 究極的には 自国の生死を他者の判断に委ねる という意味である。
弱者国家の繁栄は 自立の回復ではなく 支配の下での成功形態 に過ぎない。
10.3 弱者国家の“唯一の武器”は信頼されること
弱者国家が生き残るには、 強者国家にとって
便利であり、 裏切らない存在である
と認識させることが必要になる。
それは 経済的価値、地政的位置、外交姿勢によって 形成される。
弱者国家は 軍事力ではなく 信用と従順さを資源として取引する のだ。
10.4 弱者国家の失敗は“自分を強者と思うこと”
弱者国家の最大の危険は、 自らを独立国家だと信じ、 自立した判断を下そうとする瞬間である。
その錯覚が 無謀な外交、誤った挑発、 孤立、制裁、衰退を招く。
弱い国家が滅びるのは 力がなかったからではなく、 力のない自分を否定した時 である。
国家は実力に従って生きなければならない。
10.5 弱者国家の生存には“冷徹な自己認識”が必要である
弱者国家が生き残るには、 自分は強者ではないと認め、 強者の秩序を利用し、 その中で立ち回る能力が必要となる。
つまり弱者国家が生き抜くための 最大の武器は、
現実を直視できる知性
である。
その知性を持たない弱者は滅び、 それを持つ弱者は繁栄する。
日本がこれから生き残るには、 感情でも夢想でもなく、 自国の実力を把握し、 その上で戦略的に振る舞う意志 を取り戻す必要がある。